真継伸彦(1932 – 2016)
京都大学出身の作家、姫路獨協大学教授。
学生時代はヨーロッパ思想一辺倒だったものの、25才頃に歎異抄に出会い、その後は仏教に打ち込んみました。やがて『親鸞』という小説を書いています。
歎異抄をたたえる人々6 真継伸彦
作家・真継伸彦
浄土、日蓮、天台、真言、禅など様々に対立する在家仏教がすでに成立しているなかで、なぜとくに親鸞から学ぼうとするのかという選択の問題については、個人的な動機がある。
私はおなじ動機から『歎異鈔』を訳出し、読者にあらかじめ読んでもらおうと思う。
というのは、私はもう二十年ちかく前、二十代なかばのころに『歎異鈔』を読んで、救われた思いをしたことがあるからである。
(真継伸彦「親鸞」)
私はこの本を書くために親鸞の著作のほとんどを再読して、やはり『歎異抄』に最も感動させられたのだった。
私は読んでいて、親鸞の肉声を聞く思いもした。
私は同時に『歎異抄』が、親鸞の全思想の精髄であるとも思った。
(真継伸彦「親鸞」)